2009/02/18

君が望む永遠 第4話

以前、一緒に住もうと言い出した水月を気づかってか、自らその話を持ち出す孝之。
だが、水月は、少し平静を装うようにやわらかく断ることに。

その一件があってから、仕事でもプライベートでもどこか歯切れが悪くなる水月。
仕事中でもぼーっとしてしまう時間が多くなり、先輩の石田さんにも逆に気遣われてしまうこともしばしば。

一方の孝之も、水月がふさぎがちになっているのをなんとなく感じていた。
バイト先の電話から、水月と連絡を取る。

「今日上がった後って、用あるのか?」

だがタイミングの悪いことに、会社の電話を使用に使っていた現場を、大空寺・玉野たちに抑えられてしまい、絶体絶命のピンチ?





孝之に呼び出されて待ち合わせの場所へ向かった水月。
何をするのかと訝しがっていると、孝之はおもむろに駅前の不動産屋の物件を物色し始めた。
すぐに引っ越すのは厳しいかもしれないけれど、将来的には・・・。
その孝之の優しさに思わず涙が出てしまう水月。
2人は、ゆっくりと時間をかけて、同居するアパートを探し始める。

「今の俺たちには、俺たちに生活がある」

その頃、献身的にお見舞いと看病を繰り返していた茜。
今日も、水泳大会に地区優勝を報告しに、いつものように病室に足を運ぶ。
だが今日だけは、いつもとは違っていた。
身動き一つしなかった姉の遙の手が、ベッドから出ていたのだ。
目を疑った茜は、そっとその腕を手に取る。
すると、かすかに握り返すようなそぶりさえ見せた。

「先生・・・香月先生・・・おねえちゃんが・・・! 先生!!」

一方の孝之と水月は、今日は楽しく孝之の部屋で夕食。
さぁ、これから食べようとしたその時、部屋の電話が鳴る。

「大空寺だ。夜番押し付けられたからその腹いせか」

だが、電話の主は大空寺ではなく、茜だった。
神妙そうな声色で、一つ一つ言葉をつむぐ茜。
そして、その言葉に思わず身動きが取れなくなる孝之と水月。

「お姉ちゃんが・・・目を覚ましました・・・」

あわてて受話器を手に取ったが、時すでに遅し、切れた電話は、無機質な機械音を繰り返すだけだった・・・。





「病院にはいかない・・・いけないよ」

ひとしきり思いをめぐらせた孝之は、そう口を開いた。
だが、部屋の隅で小さくなっていた水月は、孝之を励ますように声をかける。

「一緒に行こう。明日」

そして迎えた翌日。
病院の前まで来た孝之だったが、やはりあと一歩が踏み出せない。
水月はそんな孝之を隣で支えるように、そっと手を取り、病院内へ歩を進めていった。

2人はナースセンターで、懐かしい顔と出くわす。
遙を担当していた医師の香月先生。
先生は、これから遙に会わせる2人に、一つだけ守ってほしいことがある、と神妙な声音で切り出す。

「時間の経過。事故から3年がたっているってことは、彼女には言わないで頂戴」

その言葉に、一瞬意味がわからず戸惑う孝之たちだったが、ついに目の前の扉が開かれた。





病室に入った2人の目に最初に入ってきたのは、昔の中学校の制服を着た茜だった。
2人にはまだ状況が飲み込めない。
そして目線は、ベッドの上、静かに寝息を立てているだけだったはずの遙へと注がれる。
そこには、少し起こされたベッドに、確かに目を開いた遙がいて、昔と変わらない笑顔を孝之たちに向けていた。
まるで、あれから3年もたっている、ということのほうが夢のように。

「ありがとう。でも、絵本作家展終わっちゃった。またどこかでやるかなぁ」

その言葉に、はっとする孝之と水月。
すでに3年がたっているのに、遙はまるで昨日のことのような口ぶりで話しかけてくる。
そしてこれが、先に香月先生が2人に忠告していたことだと気づく。

「大丈夫だよおねえちゃん。絵本作家展また絶対やるから」

あわてたように取り繕う茜。
何がなんだかわからぬまま、少し無理をした遙を休ませるように病室を後にする孝之と水月。

「ちょっといいですか」

帰りの廊下で行き場のない気持ちを必死に抑えていた孝之たちに、茜が声をかける。
そして、3人は病院の外へ。
遙の目の届かないところへ来た茜は、同じくやり場のない気持ちと、この3年間の思いを水月にぶつける。

「一番の親友に裏切られた姉さん、かわいそう」
「鳴海さん、姉さんはあなたを必要としています。そばにいてほしいと思っています」

そして・・・

「あなた・・・卑怯者です」


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